今後、ドラッグストアは「検査+調剤+健康相談」のワンストップサービス拠点へ進化する


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ドラッグストア大手のウエルシアホールディングス(HD)とツルハホールディングス(HD)が当初計画を2年も前倒しし、2025年内の経営統合を決めた (2025年4月11日)

大変インパクトの強いニュースでした。業界首位のウエルシアホールディングス(HD)と2位のツルハHDが経営統合し、売り上げ2兆円規模の巨大連合が誕生することになりました。2社を合わせた国内店舗数は5000を超えます。

このように、ドラッグストア業界の経営統合加速は、市場環境の劇的な変化に対応する「サバイバル戦略」と見ることができます。主要な背景と戦略的意図を分析します。

前倒し統合の背景

1.市場飽和と競争激化

国内ドラッグストア店舗数は5,500店を超え、オーバーストア状態が顕著です。価格競争やコンビニ/ECとの競合が収益を圧迫し、単独での成長が困難な状況にあると言われています。そのような状況が早期統合を促したと考えられます。

2.医療制度改革の影響

調剤報酬の段階的引き下げや薬価改定が続く中、調剤併設型店舗の収益性維持は課題中の課題です。統合による調剤機能の強化とスケールメリットが急務となったのでしょう。

3.異業種参入の脅威

AmazonなどECプラットフォームの医薬品販売参入が現実味を帯びる中、実店舗網とデジタルを融合した新たなビジネスモデル構築が急がれたとも考えられます。

統合の戦略的意義

シナジー効果の早期獲得

物流共同化やPB商品開発で3年間で500億円のコスト削減を見込み、即時的収益改善を図る。特に調剤薬局部門の統合で処方箋受託シェア拡大を狙っているようです。

グローバル展開の加速

アジア市場(特に東南アジア)でのヘルスケア需要を取り込むため、イオンの海外ネットワークを活用した迅速な展開を計画。

データドリブン経営の強化

統合により1億人規模の顧客データを統合管理し、AIを活用した個別化健康提案サービスの開発を推進。これによりECとの差別化を図ると。

業界再編への波及効果

中小チェーンの淘汰促進

巨大連合の誕生で、商品調達力やIT投資面での格差が拡大するでしょう。地域密着型チェーンは生き残りのため独自サービス開発が急務です。

ヘルスケアプラットフォーム化

ドラッグストアが「検査+調剤+健康相談」のワンストップサービス拠点へ進化するでしょう。指先採血・郵送血液検査デメカル(健康インフラ製品)のような新規サービス導入も容易になるはずです。

今回の前倒し統合は、単なる規模拡大ではなく「デジタル時代に対応した業態変革」を急ぐ生存戦略と言えます。成功すれば業界のデファクトスタンダード確立が可能ですが、統合プロセス管理の成否が今後の命運を握ると推測します。

デメカル